丹生川上神社(にうかわかみじんじゃ)の三社巡りを計画している方に向けて、限られた時間の中でも迷わず参拝できるように、回り方の手順をまとめました。
三社それぞれの特徴や、古くから伝わる水神信仰、下社で語られるスピリチュアルな体感、由来にまつわる不思議、授与所で出会える龍神のお守りや御朱印のいただき方、ご利益に込められた意味まで、初めての参拝でも安心して巡れるように必要な情報を整えています。
丹生川上神社は、観光だけでは触れきれない「祈りの背景」を持つ神社です。
この記事が心と向き合う旅の道しるべになりますように。
丹生川上神社 回り方の基本知識と参拝計画
丹生川上神社三社巡りの全体概要

丹生川上神社は、奈良県吉野の山あいに佇む 上社・中社・下社 の三つの神社から成り立っています。
それぞれ独立した社でありながら、どこも共通して 「水を司る神さま」 をお祀りしており、日本でも特に古い水神信仰が受け継がれている場所です。
■御祭神
三社には、それぞれ異なる神さまが鎮まっており、役割も少しずつ異なります。
ご祭神を知ってから巡ることで、祈りの方向が明確になり、参拝がより深まるでしょう。
社名 | 主祭神 | 神格 |
---|---|---|
中社 | 罔象女神(みづはのめのかみ) | 水の源・水神の女神 |
上社 | 高龗神(たかおかみのかみ) | 山の水源を司る龍神 |
下社 | 闇龗神(くらおかみのかみ) | 雨や天候を司る龍神 |
その歴史は深く、かつては朝廷が「雨を降らせたい時」「雨を止めたい時」に祈りを捧げ、馬を奉納していたことが記録に残っています。
つまり、この三社は神話の舞台ではなく、国全体の祈りが集まった「現実の神事の場」だったのです。
巡拝の順番に決まりはありませんが、中社を起点に、上社 → 下社 と回るルートが最も自然で、道中も効率的です。
中社は境内も広く、拝殿・本宮・東の瀧など参拝できる場所が複数あるため、時間をゆっくり取りたい社でもあります。
上社は大滝ダムの湖を見下ろす高台にあり、静かな中に近代と古代の信仰が同居しています。
境内には元宮遥拝所や古祭祀跡の案内があり、水源と神を結びつけて祈ってきた人々の姿が思い浮かびます。
下社は吉野川に寄り添うように建ち、黒馬と白馬を祈雨・止雨の象徴として祀ってきた歴史を持つ場所です。
素朴で言葉少なな空気の中に、「祈るとは静かに向き合うこと」という感覚が自然と引き出される環境が残されています。
三社すべてを巡ると、水と祈りの記憶を辿る旅 をしていることに気づきます。
■移動手段
移動手段は車が現実的で、中社から上社までは約30分、上社から下社までは約50分が目安です。
上社から下社への道は山道も含まれるため、急がず安全第一で進むことが大切です。
バスで巡る場合は本数が限られているため、事前の時刻確認は必須になります。
また、御朱印や授与品を希望する場合は、各社務所の受付時間も確認しておきましょう。
特に冬季は終了が早まることがあるため注意が必要です。
この三社巡りは、観光というより 「水を祈る国の原点」に触れる旅。
その背景を少しでも知って歩けば、それぞれの社で感じる空気がまったく違って映るはずです。
丹生川上神社下社スピリチュアルを知る

丹生川上神社下社は、三社の中でも特に静けさが残る場所であり、「祈りの深さ」を感じたい方に選ばれる神域です。
ここは古来より、雨を願うときには黒馬を、晴れを祈るときには白馬を捧げた、祈雨・止雨の信仰の中心でした。
自然に対して祈りを捧げるという、日本人が持つ根源的な信仰が今も息づいています。
境内の奥には、山の緑がせり出し、社殿と自然が一続きになっています。
神馬が祀られた厩舎があることからも、神と人、そして生き物が切り離されずに寄り添っていた時代の気配が残されています。
この下社を訪れる人の多くは、「何かを願う」というよりも、「心を澄ませたい」と感じて参拝に訪れます。
手水で呼吸を整え、拝殿で二礼二拍手一礼をすると、不思議と体が静まり、思考より内側の声に耳を傾けられるようになります。
朝の時間帯は参拝者も少なく、一層深く祈りに向き合える場になります。
境内には由緒や伝承が記された案内があり、目を通してみると、この地に根づいた祈りの歴史が立ち上がってきます。
写真撮影は可能ですが、参拝者が祈っている時には音を控えめにし、この神域の空気を尊重する心が大切です。
祭礼の日には氏子による奉仕や祝詞が響き、古い儀礼が今も続いていることを感じられるでしょう。
下社のスピリチュアル性は、奇跡や神秘というよりも、自然と祈りが重なる感覚のこと。
目には見えないものに頭を下げ、天を仰いできた先人たちの姿が、現実の中に浮かびあがる瞬間でもあります。
丹生川上神社 不思議と伝承の背景

丹生川上神社には、古代から伝わる多くの伝承や象徴が受け継がれており、それらは神秘というより、深い祈りの記憶として残されています。
その代表的な逸話が、神武天皇が東征の途上で立ち寄り、夢淵に厳瓮(いわいべ)を沈め、川面に現れた魚の姿を吉兆としたという伝承です。
ここで登場する「鮎(あゆ)」は、「魚」と「占」の文字が結びつくように、水と祈りを結びつける象徴とされています。
夢淵は今も中社の近くに残され、訪れる人が水面をのぞき、静かに祈る姿が見られます。
また、雨を祈るときに黒馬を、晴れを願うときに白馬を捧げた記録は『続日本紀』にも記されており、日本の絵馬文化の源流ともいわれます。
もともとは生きた馬を奉じていた祈りが、木の板に託される形へと変化していった過程は、信仰が形を変えても思いは変わらないことを物語っています。
さらに象徴的なのが、萬歳旛(ばんざいばん)です。
鮎、厳瓮、水文様などが織り込まれた意匠は、天皇の儀式でも用いられ、丹生川上神社が地方の一社にとどまらず、国家の祈りを担った神社であったことを示しています。
中社ではこの意匠を用いた御朱印帳や授与品も見ることができます。
上社では、大滝ダム建設により湖へ沈んだ元宮を遥拝できるよう整備され、かつての祭祀の場への敬意が今も守られています。
水にまつわる祈りが時代を越えて受け継がれていることが伝わる場所です。
丹生川上神社の「不思議」とは、非日常の出来事ではなく、祈りの形が連綿と続く歴史そのもの。
伝承に触れるとき、過去の祈りと今の祈りが静かにつながり、神社がただの訪問地ではなく、心のよりどころとして立ち現れます。
ご利益を意識した参拝順序の考え方

丹生川上神社の三社はいずれも水の神を祀り、そのご利益には共通して 「浄化」「調和」「祈願の実り」 という流れが息づいています。
順路をたどるだけの旅ではなく、祈りを深めていく旅として巡拝を組み立てることで、三社を通じた体験がひとつの祈願として形を帯びていきます。
三社には、それぞれ異なる役割に近いものが感じられます。
どこから参拝してもよいとされていますが、意図を持って順序を整えることで、心の流れに筋が通りやすくなります。
■中社:祈りのはじまり ― 清めと意図を整える
巡拝を中社から始めるのは、多くの参拝者にとって自然な流れとなっています。
手水舎での清めや自祓を通して心身を整え、拝殿では今の状況や日々の感謝を伝えます。
中社にある 東の瀧での龍玉奉納 は、気持ちをひとつの願いに定める行為として知られています。
ここで祈願を心の中で言葉にしておくと、後の参拝で迷いなく祈りを届けられるでしょう。
■上社:山川の神へ ― 前進の力を願う
上社は水源を守る神を祀る場所であり、自然への畏敬が感じられる神域です。
大滝ダムの湖面と、かつての元宮遥拝所との対比は、人と自然の調和を考えるきっかけにもなります。
ここでは、不安や滞りを手放し、「これから進みたい道」 に祈りを向けるとよいとされます。
未来への意志を込める場所として、上社は最も静かに心を後押ししてくれる社です。
■下社:祈りの結び ― 日常と感謝への回帰
最後に訪れる下社は、三社の中で最も素朴で、人との暮らしに近い祈りが息づく神域です。
黒馬・白馬が祈雨・止雨の象徴として祀られてきた歴史は、祈りが生活とともにあったことを伝えています。
ここでは、家族や人間関係、日々の安心など、より現実に近い願い を静かに届けます。
感謝とともに巡拝を締めくくることで、祈りの旅全体が自然と完結していきます。
■参拝作法と祈りの届け方
三社ともに共通する作法は、手水での清め、自祓、そして二礼二拍手一礼です。
慌てず、所作を丁寧にする姿勢は祈りの質を高めるものとされています。
願いが複数ある場合は、焦点を定めて祈ることが大切です。
願いの奥にある感謝や覚悟を添えると、祈りはより届きやすく、長く心に残ります。
祈りの順序を意識することは、作法以上に、心の内側を整える過程です。
丹生川上神社の三社巡りは、「祈りを深める巡礼」として歩むことで、より大きな実感と静かな充足感を得られる参拝となるでしょう。
丹生川上神社 回り方と拝受できる授与品・御朱印
龍神 お守りと授与品の種類

丹生川上神社の授与所には、水の神を祀る社らしく、心の願いを託せる多様なお守りや授与品が並んでいます。
開運・厄除・家内安全・商売繁盛といった一般的なご利益はもちろん、「祈る力を身につける」 という意味合いが強く、日常で持ち歩きやすい形が多いのも特徴です。
特に人気があるのが、水神龍守・ミズハ守・金運上昇守・てんき守・えん結び守・開運招福守 といった、祈願内容が明確なお守りです。
意匠にも意味が込められており、龍や水の紋、雲、水玉など、自然と神が調和する象徴が丁寧に使われています。
中でも象徴的なのが、「龍の雫」 と呼ばれるガラス製の珠です。
東の瀧の一雫を宝珠に見立てた授与品で、特別祈祷付きの形で授与されます。手のひらに載せた瞬間、祈りの焦点がひとつに定まるような感覚を覚える人もいます。
また、カード型の開運招福守やクリップタイプの金運守など、日常に溶け込ませやすいお守りも多く用意されています。交通安全守やステッカー、祓い清めに用いる砂や塩など、生活の中で使える授与品も見られます。
中社では、拝殿で授与される「龍玉」を東の瀧に投じる参拝方法が知られています。
玉を受けたら、投げ入れる前に三度息を吹きかけ、心の曇りを祓う所作に集中しましょう。
訪れる順番や社務所の時間も考慮して、計画に組み込んでおくと安心です。
授与品 | 概要 | 初穂料 |
---|---|---|
丹生川上神社神符(大・小) | 家内安全や無病息災など | 各1,000円 |
水神龍守・ミズハ守 | 気力や気運の加護を祈念 | 各1,500円 |
えん結び守・金運上昇守 | 良縁や金運の祈願 | 各1,000円 |
てんき守・うまくいく守 | 厄除や諸願成就の祈願 | 各1,500円 |
龍の雫 | ガラス珠の特別祈祷付き | 10,000円 |
火難除御幣・神馬絵馬 | 火難除や願意奉納 | 500〜1,000円 |
金額は目安であり、授与状況は変更される場合があります。希望がある場合は、頒布や送付の可否、初穂料、在庫について事前に確認しておくと安心です。
公式HPをご参照下さい。
お守りについては御朱印をいただく際の注意点
丹生川上神社では、三社それぞれで御朱印を授与しており、巡拝の証として受け取ることができます。
なかでも中社には、萬歳旛や双龍をあしらった御朱印帳があり、時期によっては切り絵御朱印が頒布されることもあります。
御朱印は「参拝の記録」 としていただくものです。
拝殿での参拝を済ませてから社務所へ向かうことが大切で、神前に祈りを届けた後に墨書を受けるという順を守ると、心の流れも自然と整います。
混雑時には書き置きでの対応になる場合があります。社務所の受付時間に合わせ、閉所間際を避けておくと、丁寧に対応してもらいやすくなります。
また、三社巡り用の色紙や福神矢が準備される時期もあるため、どこか一社目で確認し、必要なものを早めに受けておくとスムーズです。
御朱印帳を渡す際は、カバーを外し、記帳してほしいページを開いて手渡します。
雨天や湿気のある日は、インクのにじみを防ぐ工夫(紙や袋の用意)も役に立ちます。
参拝の記録としての御朱印は、時間の経過とともに祈りの道のりを思い出させてくれる存在です。
丹生川上神社の三社を巡りながらいただく一冊は、旅そのものを綴るような心の記憶となっていくでしょう。
こちら をご参照下さい。
御朱印については
丹生川上神社(にうかわかみじんじゃ) 三社 基本情報
社名とHP | 住所 | 電話番号 | 参拝時間・社務所対応 | 駐車場 |
---|---|---|---|---|
上社(かみしゃ) | 〒639-3541 奈良県吉野郡川上村迫869-1 | 0746-52-0733 | 参拝自由(境内開放)社務所:9:00~16:00(季節により変動) | 無料駐車場あり(鳥居前に数台) |
中社(なかしゃ) | 〒639-3632 奈良県吉野郡川上村東川135 | 0746-52-0733※上社と共通 | 参拝自由社務所:9:00~16:00(御朱印受付あり) | 無料駐車場あり(境内隣接10台前後) |
下社(しもしゃ) | 〒633-2422 奈良県吉野郡東吉野村杉谷205 | 0746-42-0032 | 参拝自由社務所:9:00~16:00(時期により不在あり) | 無料駐車場あり(参道前 数台・道幅狭め) |
一日で効率よく三社を巡りたい方には、ツアーもお勧めです!
※クラブツーリズムは「丹生川上神社 三社ツアー」には直接飛ばないため、検索条件のページで「丹生川上神社 」と入れて検索してみてください。
旅のスタイルに合わせて、あなたにぴったりのツアーをぜひ探してみてくださいね。
マイペースにゆっくり参拝したい方はこちらから周辺宿をチェック!
\ 周辺の人気ホテル・宿泊施設をチェック! /
丹生川上神社 回り方におけるまとめと参拝の心得
・三社巡りは中社を起点に上社と下社へ回る計画が立てやすい
・参拝前に社務所と祈祷の受付時間を把握して行程を調整する
・手水と自祓と二礼二拍手一礼の所作を丁寧に整えて参拝する
・中社では龍玉を受けて東の瀧へ奉納する流れを理解しておく
・上社では元宮遥拝所と祭場跡の案内から歴史の層を確認する
・下社では祈雨と止雨の象徴が伝える信仰の背景を学び取る
・授与品は願意と携帯性から選び初穂料の目安も確認しておく
・龍神にちなむお守りは水の神の象徴性を踏まえて受ける
・御朱印は参拝の証として拝殿参拝後に落ち着いて受ける
・混雑時の書置き対応や乾燥待ちを見込んで時間に余裕を持つ
・公共交通は本数が限られるため車移動前提で計画を立てる
・安全運転と山道の所要時間を考慮し休憩を適切に挟む
・歴史伝承は境内案内を読み歩くことで理解が深まっていく
・写真撮影は参拝者への配慮を最優先とし静けさを尊重する
・丹生川上神社 回り方は願意の整理と順序設計が要になります